スコッチ・ウイスキーの知識

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製造過程


製麦


原料には、春蒔きの二条大麦が用いられる。8月末から9月中旬に収穫された麦を2ヶ月以上は保管する。これは収穫されたばかりの大麦は発芽しないためである。スティープと呼ばれる浸麦槽で、これを水に浸して発芽させるのだが、浸し放しでは麦がふやけてしまうため、浸しては乾燥させるという工程を2、3回繰り返す。根が出て芽吹き始めたところで、モルトバーンとよばれるコンクリートの床の上に広げて、発芽が均一になるように攪拌する。これをモルティングという。発芽後8日から14日程度で「グリーンモルト」と呼ばれる状態になったところで発芽の進行を止める。発芽の進行を止めるためには、キルン(乾燥塔)に麦芽を移し、下でピートを焚いて乾燥させる。ピート乾燥と呼ばれるが、実際にはピートだけで乾燥させる方法は少数派で、これに無煙炭や重油などを焚いて乾燥させた空気を送り込んで乾燥させるのが普通である。この混合比や、乾燥時間が、それぞれのモルト・ウイスキーに個性的な風味を与える。かつてはこれらの作業を蒸留所で行ってきたが、現在では、モルトスターから仕入れるのが一般的となっている。モルトスターの製麦は上記のような伝統的なフロアモルティングではなく、機械式である。このため、一部の蒸留所では、伝統的な作業を守りつづけているところもある。

糖化


乾燥した麦芽を、ゴミなどを取り除き、粉砕する。粉砕された状態の麦芽をグリストと呼ぶ。次にグリストを篩にかけるが、グリストの大きさはウィスキーのできあがりに大きな影響を与える。マッシュタンと呼ばれる大きな金属製の容器に移す。これに熱湯を加えて攪拌し、混合液が63℃となるようにする。こうすることで酵素の作用により、デンプンが、麦芽糖へと分解される。こうしてできた糖液(麦汁、ワートともいう)を抽出する。これを糖化(マッシング)という。糖化は通常2、3回行われる。

発酵


糖液を20℃程度に冷却し、酵母(イースト菌)を加えて、ウォッシュバックと呼ばれる大きな桶に移す。アルコール発酵により、2、3日でアルコール度数6 - 8%の醸造酒ができる。これをウォッシュという。発酵過程がウイスキーのできあがりに大きな影響を与えることはいうまでもない。酵母の選択や発酵時間がその要素となる。発酵時間を長くすると、できあがる酒は酸味を帯びる。これは乳酸菌により糖分解が進行するためである。ここまでの過程は、ホップを使用しないことを除けば、ビールの醸造とほぼ同じである。

蒸留


ウォッシュを蒸留釜に移して蒸留する。蒸留釜は、銅製の単式蒸留釜で、ポット・スチルと呼ばれる。蒸留所によって使用するポット・スチルの大きさや形態が異なり、これらがウィスキーの個性に影響していると考えられている。ただし、密造を防ぐため、あまりに小さいスチルの使用は認められていない。スコッチ・ウイスキーは、ほとんどが2回蒸留される。それぞれの蒸留には別々の釜が用いられ、最初の蒸留釜(初留釜)をウォッシュスチル、二つめの釜(再留釜)をスピリットスチルまたはローワインスチルとよぶ。これらはペアになっており、通常再留釜のほうが小さい。また、初留釜は赤、再留釜は青のカラーコードを用いることも規定されている。(写真参照)ロウランドには3回蒸留する蒸留所もある。スチルマンと呼ばれる職人が、蒸留されて出てくるスピリッツを熟成用と再蒸留用とに仕分ける。蒸留された無色透明の酒はニューポットと呼ばれる。

熟成


ニューポットに加水してアルコール度数を63度前後に調整し、オーク樽に詰める。熟成用の樽は、主として中古のもので、シェリー樽とバーボン・ウイスキー|バーボン樽が多く使用される。ポートワイン樽やラム酒樽などを使用する場合もある。どの樽を使用するかによって、ウィスキーの色や風味に影響がある。例えば、シェリー樽を使用すると、色は赤褐色で、果実風味が強調され、バーボン樽使用では、薄めの琥珀色となり、バニラ香のような甘さが感じられるなどといわれる。シングル・モルト・ウイスキーの場合、この違いが大きいため、蒸留所によっては、シェリー樽のみを使用するところや、10年のうち8年をバーボン樽、2年をシェリー樽という風に組み合わせるところ、それぞれの樽の原酒を混ぜ合わせるところなどに、それぞれの蒸留所のこだわりと工夫が見られるのである。法律上は最低3年間の熟成が義務づけられるが、実際に販売されるものは、8年以上熟成を経たのが圧倒的に多い。通常、8年、10年、12年あたりが多く出荷される。熟成年数が長くなると、琥珀色が濃くなり、香り、味などに深み・複雑さを増すが、管理費用、自然蒸発(これを「天使の分け前」 (''angels' share'') と呼び、年に2〜3%ずつ蒸散する)によって希少性が高まるため、値段が急上昇する。熟成庫には、樽を並べた上に横木を渡して積み上げてゆく伝統的なダンネージ式倉庫と、スペースを有効に活用するために棚に置いてゆくラック式倉庫がある。スコッチ・ウィスキーの場合、バーボンなどとは違い、一度置いた樽は原則として動かすことはない。このため樽の置かれた位置により、地面に近い位置と高い位置とでは湿度や風通しが異なるため、風味の異なる酒ができあがる。せいぜい3段くらいしか積み上げられないダンネージ式に比べ、ラック式ではその差は大きなものとなる。シングル・モルト・ウィスキーの中でも、単一の樽から瓶詰めされた物をシングル・カスク・ウィスキーとして別に扱うのはこうしたわけである。シングル・カスク以外では、樽間のバラツキをなくすために混合し、なじませるために再度樽詰めして数週間おく。これを後熟と呼ぶ。

瓶詰


シングル・モルト・ウイスキーでは、各蒸留所のオフィシャル・ボトル以外に、業界最大手のユナイテッド・ディスティラーズ (''united distillers'') 社や瓶詰業者によるものもある。

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